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先端的研究

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ガンマ線バーストで探る太古の宇宙

数物科学専攻 米徳 大輔

 ガンマ線バースト(GRB)とは宇宙最大の爆発現象です。数十秒という短時間だけガンマ線で明るく輝き,その後,X線や可視光で急激に暗くなる残光を伴います。GRBは非常に明るいので,初期宇宙(ビッグバン後の間もない時期)を観測する手段として注目されています。宇宙物理研究室では望遠鏡による観測や,人工衛星搭載用の観測装置開発およびデータ解析から,GRBの現象の解明と観測的宇宙論をテーマに研究しています。
 明るい残光を捉えるためには,バースト発生後いち早く観測することが重要です。人間が望遠鏡を動かしていたのでは時間がかかるため,我々は完全に無人で観測を開始できるロボット望遠鏡を作りました。人工衛星が検出したGRBの発生方向をインターネット経由で知り,即座に観測ドームや望遠鏡を動かし,CCDカメラでの撮影を行うシステムです。目標は130億光年を超える太古の宇宙を観測し,世界で最も遠い天体を発見すること。そして,この宇宙の進化を解明することです。
 人工衛星の観測データからも初期宇宙でたくさんのGRBが発生しているという兆候をつかんでいます。最近の研究では,初期宇宙における暗黒物質や暗黒エネルギーの量を測定することに成功しました。これは21世紀の物理学における最重要トピックの1つです。GRBを用いた初期宇宙観測という非常にユニークなテーマで,世界に通用する最先端の研究を行っています。他にも金星へ向かうイカロス衛星やAstro-H衛星などの装置開発を手掛け,自ら作った観測機器で宇宙を観測しています。


図1 宇宙科学研究本部の1.3m望遠鏡。赤外線と可視光で観測し,宇宙で最も遠い天体の検出を目指しています。


図2 2008年8月10日に,117億光年先で発生した残光を捉えることに成功しました。